要点
Vercel AI SDKのDeepgramプロバイダー3.1.0は、指定できるのに実際のAPIリクエストへ渡っていなかった文字起こし設定を修正しました。同時に、話者分離を既定で有効にする挙動をやめています。音声アプリでは、SDK更新だけで出力や料金条件が変わり得るため、設定値と実際のリクエストを一緒に点検する更新です。
何が変わったのか
公式リリースによると、keyterm、paragraphs、intents、sentiment、replaceはproviderOptions.deepgramで受け付けていたものの、Deepgramの/v1/listenへ送られていませんでした。3.1.0ではクエリーパラメーターとして送信されます。
挙動変更もあります。diarizeは話者ごとに発話を分ける機能ですが、以前は明示的に無効化しない限り録音済み音声の全リクエストへdiarize=trueが付きました。これはDeepgramの有料アドオンであるため、3.1.0からは明示した場合だけ送信されます。従来の出力へ依存するアプリはproviderOptions.deepgram.diarizeを設定する必要があります。
音声合成側では、音声ファミリー、声、言語から上流モデルIDを組み立てる処理、課金文字数やリクエストIDなどのメタデータ、0.7〜1.5の速度指定、Deepgram固有のエラー本文の解析が追加・修正されました。
どこで効くのか
会議録、インタビュー文字起こし、コールセンター分析では、話者分離の有無が後段の要約や担当者別集計を変えます。SDKを更新して設定を足さなければ、これまで分かれていた発話が一つの流れになる可能性があります。一方、話者分離を不要としていた処理では、意図せず有料機能を呼ぶ状態が解消されます。
sentimentやintentsを指定しても結果へ反映されなかった問題は、設定オブジェクトが型検査を通ることと、上流APIへ届くことが別問題だと示します。音声処理の受け入れテストには、返却結果だけでなく、送信クエリーと課金メタデータの確認も含めるべきです。
導入するか
採用判断
対応必須 — @ai-sdk/deepgramを使うアプリは、diarizeへの依存と、これまで黙って落ちていた設定の有無を更新前に確認します。Deepgramを使っていなければ対象外です。
15分ミニ課題
package.jsonまたはロックファイルで@ai-sdk/deepgramの利用有無と版を確認する。- リポジトリ内で
providerOptions、diarize、keyterm、sentimentを検索する。 - 話者分離が必要なら明示設定があるか、不要なら暗黙の有料機能に依存していないかを1行で記録する。
- 対象パッケージがなければ「対象外」と記録して完了する。
完了条件は、利用版、影響する設定、更新前に必要なテストを一つずつ特定できることです。外部APIは呼ばず、課金を発生させません。
最小コード例
話者分離へ依存する場合は、更新後も意図が残るよう明示します。次はリリースノートが示す設定部分だけの例です。
const providerOptions = {
deepgram: {
diarize: true,
},
};
前提知識
音声認識の話者分離、Deepgramの/v1/listenクエリー、Vercel AI SDKのプロバイダー固有設定を確認してください。
参照元
- @ai-sdk/deepgram 3.1.0 — Vercel、2026年8月23日公開